野良猫が多く集まる場所で、片耳がV字にカットされた猫を見たことがありませんか?
初めて見かけた方は、「虐待かな?」「猫同士の喧嘩で切れたのかな?」と、少し心配になりますよね。
でも安心してください。この耳カットは、その猫が不妊手術を施された野良猫であることを示す証なのです。
カットされた耳の形が桜の花びらに似ていることから、耳カットされた野良猫たちは「さくら猫」と呼ばれます。
今回は、そんな「さくら猫」についてご紹介します。
野良猫の耳に切り込みがあるのはナゼ?耳カットの真相!
上述のとおり、片耳をカットされた野良猫の真相は、虐待ではなく「不妊手術を施された猫」の証です。
猫の繁殖力は非常に高く、放っておくとどんどん増え、庭に入り込んで排泄したり、
ゴミを漁ったりといったトラブルの元になってしまいますし、
それが原因となって野良猫たちが保健所に持ち込まれてしまうという最悪の事態も起こりえます。
このような不幸な野良猫を増やさないために、野良猫を捕獲して不妊手術を施し、
元の場所に戻すという活動が行われています。
不妊手術を施すことで、その猫は「一代限りの命」となり、
地域猫として暮らしていくことができるのです。
捕まえて手術し、耳を切るというと、かわいそうに思うかもしれませんが、
実は野良猫たちの命を守る大切な活動なのです。
耳カットは虐待ではなく、さくら猫活動の証!
耳カットの真相は虐待ではなく、野良猫たちの命を守る活動の証であることが分かりましたね。
V字型の耳の切れ込みが桜の花びらの形に見えることから、
耳カットされた猫たちのことを「さくら猫」と呼ぶことがあります。
猫は喧嘩で耳が切れてしまうこともあるため、自然にできた傷と区別できるよう、
明らかに人為的にカットされたことが分かるV字型にカットされているのです。
この耳カットは、不妊手術の際、麻酔がかかっている状態で行われるので、
野良猫たちに痛みはなく、猫の耳は血流の少ない部位なので、出血もほとんどありません。
また、不妊手術されていることがひと目で分かるので、
何度も捕獲され麻酔をかけられるリスクもありませんし、
地域住民や行政に対して「管理されている猫であること」をアピールすることもできます。
きちんと管理されている猫を保健所へ連れて行く必要はありませんから、耳のカットはとても重要な目印となります。
・「さくら猫」の豆知識!
実はこの「さくら猫」、どちらの耳に切れ込みがあるかで、オスかメスか見分けられることもあるんですよ。
地域によって違いがあるため、一概には言えませんが、一般的にオスは右耳、メスは左耳をカットされることが多いようです。
「さくら猫」を見かけたら、どちらの耳がカットされているか、ぜひチェックしてみてくださいね。
野良猫のTNR活動とは
TNR活動とは
不妊手術を施されたあと耳をカットされ、元いた場所へ戻すまでの一連の行為を「TNR活動」といいます。
これは、Trap(=トラップ、捕獲)、Neuter(=ニューター、不妊手術)、
Return(=リターン、元の場所へ戻す)、の頭文字を取ったものです。
TNR活動は、ボランティア団体や地域住民によって推進されており、
自治体によっては、この活動に対して助成金を出しているところもあります。
筆者の住んでいる地域でも、近年、TNR活動に対する助成金制度が整備されました。
野良猫の保護を行う団体のほか、野良猫を拾って終生飼育する個人に対しても
不妊手術の助成金が出るようです。お住まいの地域ではどのような制度となっているか、確認してみてください。
TNR活動の先駆けとして2005年から「さくらねこ無料不妊手術事業」を行っている
「公益財団法人どうぶつ基金」では、ボランティア団体・行政のほか、個人に対してもTNR活動に対する助成を行っています。
TNR活動を行う上で重要なこと
TNR活動において重要なことは、その地域に生息する野良猫の全てに対して不妊手術を行うことです。
新たに他の地域から野良猫が流入してくると、またあっという間に野良猫は増えてしまいます。
不妊手術実施率100%を目指して、活動を継続していく必要があるのです。
どうぶつ基金のサイトから支援金の寄付もできますので、「TNR活動」に興味を持たれた方は、覗いてみてくださいね。
公益財団法人どうぶつ基金 さくら猫の島・青島(クリックするとジャンプします)
まとめ
野良猫の耳カットに関するポイントは4つです。
①野良猫の耳カットは虐待やケガではなく、不妊手術が施された証!
②耳カットされた猫は「さくら猫」と呼ばれ、地域で見守られながら「一代限りの命」を全うする!
③野良猫に不妊手術を施し、耳カットしてから元いた場所に戻すことを「TNR活動」という!
④「TNR活動」は徹底・継続が肝心!支援金で不幸な野良猫を減らす活動を応援しよう!
自由気ままにのんびりと暮らす野良猫たちを見ていると癒されますが、
全ての人々が猫を好きなわけではありませんよね。
「さくら猫」「TNR活動」は、ときに厄介者として扱われてしまうこともある野良猫たちの立場を守るための大切な活動です。
上述のとおり、この活動は継続していくことが重要で、途中で止めてしまうとせっかくの活動が意味をなくしてしまいます。
そしてこの活動を続けていくためには、多くの人の協力と資金が必要になります。
この記事で、一人でも多くの人が「さくら猫」「TNR活動」に興味を持ってくれれば幸いです。
直接的にTNR活動に支援をしなくても、TNR活動について理解し、
野良猫にむやみにエサをやらないようにするだけでも野良猫たちの立場を守ることにつながります。
耳カットの「さくら猫」を見かけたら、優しく見守ってあげてくださいね。